茅葺き屋根と雪、ふたつの「自然」が織りなす風景
雪と茅葺き屋根が織りなす風景は、まるで静かな時の流れの中にいるような落ち着いた気持ちにさせてくれます。
雪化粧をした茅葺き屋根は、その曲線が一層引き立ち、厳しい寒さの中にも温もりを感じさせてくれます。この風景を眺めていると、「この景色を後世に残さなければならない」という強い責任感が湧き上がってきます。
雪が降るたびに茅葺き屋根の表情は変わり、春の訪れと共に雪が溶け、茅葺き屋根本来の姿が現れます。その移ろいは、まるで雪と茅葺き屋根が作り出す一つの物語のようです。
しかし、茅葺き屋根を長く守り続けるためには、ただ見守るだけでは十分ではありません。屋根に過度な負担がかかる前に、雪を取り除く作業が欠かせません。私たち茅葺き職人は、できる限り雪が積もりにくいよう工夫を凝らして屋根を葺いていますが、どうしても限界があります。そのため、自然の力に抗うのではなく、共生しながらつきあっていくことも重要だと考えています。
茅葺き屋根での暮らしは、時に厳しく、時に穏やかで、私たちに自然との共生の大切さを教えてくれます。茅葺き屋根と雪、ふたつの「自然」が織りなす風景は、単なる美しさにとどまらず、私たちの暮らしや文化、そして自然との深い結びつきを象徴しているように思えます。これからも、この貴重な風景を守り、後世に伝えていくために、私たちにできることを日々考え、精進していきます。